コンフォートゾーン

コーチングには人生をまるごと変えてしまう劇薬のような効果があります。しかし、一方では、動画やほんやセミナーを通してコーチングについて長く学んでいるにも関わらず、現状を打破できないという問題を抱えている人も少なくありません。なぜ、コーチングの基礎理論をしっかり学べているのに、効果が出ないのでしょうか。

『オーセンティック・コーチング』(苫米地英人著、CYZO出版、2020年刊)の中に、その原因が詳しく解説されています。この本は、これまでのコーチングに書かれている本より、より一歩踏み込んで理論が解説されています。特に、コーチングのコアの「現状の外側にゴールを設定すること」を中心に、拝金主義と言う現代社会が抱える大きな問題点にまで踏み込んでいます。

この本の中で、コーチング理論を実践しているにも関わらず、現状を打破できないのは、コンフォートゾーンを広げすぎているだ、と結論づけています。コンフォートゾーンは広げるものではなく、狭ければ狭いほどいい。広げてしまうと、現状のまま続いてしまい、現状の外には出られなくなるのです。このことをよりわかりやすく、柔道を例に出して説明をしています。このコンフォートゾーンを広げてしまうというミスは、コーチングを深く学んでいるはずのコーチもまた陥りやすいと苫米地博士は指摘されています。

学生向けのコーチングプログラム『PX2』では、コンフォートゾーンを広げようと学習する場面もあります。それは、自分本位のコンフォートゾーンがまだ作られていない子供達向けだからこそ。子供たちは、成長の過程で親離れして、自分に合ったコンフォートゾーンをどんどん作っていかなければならないのです。しかし、大人のわたしたちはすでにこれまでの人生で培ってきた既存のコンフォートゾーンがあるわけですから、それを広げてしまうと、どこまでいっても現状で、現状の外がますます遠くなってしまうのです。

「コーチングは知っているけれど、全然現状を変えることができない」とお悩みの方は、今一度、自分のコンフォートゾーンに対する姿勢を見つめ直してみてください。コーチですら、陥りやすいところです。現状を広げてしまってはいないか、今一度見つめ直してみましょう。